建 造 物(平成5年2月5日指定)

きゅうたけいしけじゅうたく
旧武石家住宅 一棟  大字麓字楯 弥彦村

 昭和49年〜50年に新潟県教育委員会によって行われた新潟県民家緊急調査で「チョウナはつりの柱や梁がよく残り、民家としての古い要素が数多く残っている」として高い評価を得た建物である。平成4年から解体復原に向けて詳細な調査がすすめられ、その過程で村文化財に指定され、平成9年5月、建築当初、享保の頃の姿に復原された。
 主屋は東を正面とし、平入、桁行7間、梁間4間、寄棟造(よせむねづくり)茅葺、東側正面に茅葺おろしの形で、出が半間の庇(ひさし)がつく。間取りは、田の字が変形した喰違い四間取りで、ザシキ、ネマ、チャノマ、ニワ(台所)となっている。ザシキとネマ(T)を除いて床は土間になっている。この床の仕様は、モミ殻をしき、ワラをのせ、ムシロをかぶせる土座(どざ)とよばれる方式である。
 ザシキには床の間がなく、内部には建具も天井もない。建築当初の柱や差鴨居(さしがもい)は台鉋(だいかんな)仕上でなく、チョウナはつりで、柱の断面も不整形である。特異な点はチャノマの中間で中梁を継ぎ、梁の組合せにあたって、束(つか)による高さ調節がされていることである。ここでは梁算段が十分に行われていないことから、大工など専門家が加わったところもあるが、全体として「結(ゆい)」とよばれる農村社会の相互扶助という社会慣行の産物といえる。
 なお、敷地内には国登録有形文化財の「味噌蔵」と「薪小屋」がある。


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